リレーde文芸



一九九九年 四月のテーマ  「さがしもの」

探しているつもりではなかった

探したいとも思わず

探さなければならないと

急き立てられることもなかった


自然に出会い

自然に言葉を交わし

自然に心が流れ込んだ


探し当てたと思った

引き合うことで 出会えたのだと思った

大切にしていきたいと思った

探していたわけではないけれど




 人は、汐の満ち引きによってこの世に生まれ、そしてまた、去っていきます。
 人は、時の旅人かもしれません。

 インターネットという膨大な情報が流れるなか、ときには、予期しなかった出会いがあります。

 行こうとして行ったページではないのに。出会おうとして出会ったわけではないのに。
 媚びることもなく、虚栄をはることもなく、そのままの魂を持つ人間として、一番奥深い心で触れ合うことが出来る感覚が、そこにはあります。
 自分の心の音叉と同じ質の音色を持った方に出会うと、その心に共振している自分に気付きます。
 それは、何にも変えがたい喜びです。
 顔もあわせたことがないのに、不思議ですよね。
 地球の向こう側に住んでいて、出会うこともなくそのまま旅立っていったかもしれないのに。
 同じ国に住んでいたとしても、知り合う機会などなかったかもしれないのに。

 期待して、探していたわけでは、ないのですが。
 やはり、出会うために探し続けていたのでしょうか。
 ええ、きっと、引き合っていたのかもしれませんね。

 探していたのではないけれど。
 でも、それはとても嬉しい「さがしもの」、大切にし続けたい「さがしもの」。そんな気がします。

 

西暦一九九九年 卯月 吉日

雅世







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