二〇〇一年 一月のテーマ  「祝詞」



晴れ着を重ねて二枚かけ これで寒くはなかろうかと

大事な珠とかしずかれ はじめて祝詞を聞いたのは

やっと梅がほころんだ 数えでひとつのことでした


銀杏の扇が金色に 青い空に映える午後

おじいさまに手をひかれ 赤いおべべ しごきにこっぽり

千歳飴が気になった 数えでみっつのことでした


幅広身上げに折り紙の鶴 かあさん夜なべで縫ってくれた

半襟刺繍がちくりと嬉し 水色絹地にまだ浅い春

お友達とくすりと笑った 数えななつのことでした


小と紅で額に書いて 春が来たのと肌が知る

数えいくつの ときでしょう

ただの呪文に聞き耳たてて 言葉の意味に祈りを捧げ


あの日 あのとき この私を

見つめてくれた 父母の

気持ちがじんわり 沁みてきます


たとえどんな大波にも さらわれるなよと瞳とじ

我が子の寝顔を 眺めては

遠き祝詞に 念じます

遠き道に 念じます




西暦二〇〇一年 如月 吉日

雅世







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