2001年1月11日





「レイモンド・カーヴァーが好きだった 君は」


彼は夕暮れのように いつもいるんだろうか 私のまわりに

君にはそうだけれど 私には さて どうだろう


君のフィアンセが答えた場所を 君は苦笑しながら話題に滑り込ませた

「君ならわかるだろう」なんて なぞなぞを置いて背中を向けた


君のまわりには 黄昏のように いつもいるんだろうか レイモンド・カーヴァーが

白く灯る薄ら寒い公衆電話で コインを落としながら 話をしているんだろうか


鮭は卵を産み そして私は

君の好きだったカーヴァー以外の 本を読んでいる


君の人生にカーヴァーがあるように 私の人生にはカーヴァーはなくて

君の人生にもう私がいないように 私の人生にはもう君はいない

当たり前すぎるほどの 当たり前のこと

そう それは スーパーに牛乳が売られているのと同じだけ 当たり前で


そして あの日置かれたままの なぞなぞは まだ 解けていない

きっと ずっと 解かないけれど


私は黄昏のように 君の人生にはいない

君が黄昏のように 私の人生にいないように


あの日のなぞなぞは ずっと手付かずのまま

私の心の隅っこで 埃もかぶらずに まだ置かれている









零した言葉
アルビレオ日詩