2001年5月3日





「線」


アスファルトの道は 定規でひいた黒炭の線

ただひたすら伸びるその黒さに 風は唸り 赤い砂を叩きつける

彼らの血の色の 彼らの肌の色の


雨は砂漠に瞬く間に吸い込まれ 草は大地にしがみつく

悪魔すら踊らぬこの地には 大きな木陰などあるはずもない

干からびた赤い地平線が 夕日を呑み込む


線の中の赤い人は 長い髪ももう持たず

三つ編みに挿す鷹の羽も 遠い過去に無くしてしまった


線の外ではゴージャスな ログハウスが木の香させ

立ち並ぶ店に ポプラ並木が影を落とす

流れるせせらぎは歌い 畑にはスウィトピーの花が揺れる


線の中の人々は 貧しいトレーラーハウスで暮らす

吹雪の中 雪を背負ってヒッチハイクするしか術を知らず


彼らが手放したその土地を 彼らが奪われたその誇りを

彼らはいつか取り戻せるのか 彼らはいつか取り返せるのか


地図という紙に書かれたその土地に 薄く囲まれた線の外

彼らは何かを捨てなければ そこから外には出られない


黒いアスファルトの道は 鉄条網で囲まれて

ただひた走る その道に

むせび泣くよに 赤い土 白い雪 渦を巻く








零した言葉
アルビレオ日詩