2000年11月14日





「小さな リンゴ」




それは 手のひらにおさまれば

まだ指の先が あまるほど小さく

赤くて 赤くて 光にあふれて

白い紙袋まで 赤くしてしまいそうなほど

貸切バスの 子供たちのように

笑い声をたてながら おしくらまんじゅうしてた

1パウンドたった59セントで


あまりにも 可愛らしくて

そんなにたくさん どうするんだという目にも

かまわないわと 答えて

一つ このうでに抱えた 鼻先に

ほおら 甘酸っぱい香りが ひろがっていく


日本のリンゴは この両手で包んでも余りあるほど大きく

瑞々しく 美味しいけれど

紅くなければと 葉を刈り

大きな果実を 人が手で回すという

小さな こんな妖精のようなリンゴは

最後まで枝に残ることなど 許されないだろうに


皮をむいたリンゴは たよりないほど小さいけれど

サクリとした歯ごたえと しっかりとした甘みと酸味は

木箱の籾殻と埋まっていた 紅玉や国光を思い出させる

これも一つの命がはぐくんだ 大切な実なのだと

小さく 小さく 命を照らすように

秋の陽の中 芯をとる


スパイスと砂糖といっしょに オーブンでリンゴが歌いだせば

手ぬくめのような 小さなパイが

子供たちの手のひらに おさまっていく

飼料になってしまうかもしれない 小さなリンゴも

それが今日の 日向にある金の指輪のように

なにげない日に 明りを灯す

この心は 感謝をささげて









零した言葉 アルビレオ日詩